人とデータが紡ぐヘルスケアの未来
2026.09.25

ティーペック株式会社
ヘルスケアストラテジー部 部長
髙橋 大 (左)
ヘルスケアストラテジー部 ソリューション2課 係長
後藤 照典(右)
24時間体制の健康医療相談から、時代のニーズに応じた支援まで
―まずは御社がどのような事業を展開されているのかを教えていただけますか?
後藤:ティーペックは、電話やオンラインを通じて24時間年中無休体制で健康全般の相談をお受けしている会社です。
事業の柱は大きく分けて2つあります。
1つ目は、保険会社の医療保険やがん保険に付帯する健康相談サービス。
2つ目は、企業や自治体向けに福利厚生の一環として提供する健康相談サービスです。
それぞれのクライアントごとに専用の電話回線を用意し、そこからご相談をいただくという仕組みになっています。
聞き手:お二人が所属されているヘルスケアストラテジー部のメイン業務は何ですか?
髙橋:後藤と私が所属するヘルスケアストラテジー部では、新規マーケットの開拓と事業戦略の推進をミッションとして活動しています。
少し細かくご紹介すると、一つは保険会社を中心とした既存契約のフォローや新規開拓です。
後藤:そしてもう一つは、「まだ世の中にない新しいマーケットやサービスを創出すること」です。
例えば、ギャンブル等依存症対策として、支援団体等から委託を受けて実施している専門相談窓口があります。
ご本人やご家族からの切実な相談を受けるだけでなく、現在では蓄積されたノウハウを活かして、企業向けのギャンブル依存症対策セミナーや研修の提案へとも繋げています。
時代のニーズに合わせて、新しい価値を作っていくことが私たちの重要なミッションです。

―ティーペック社ならではの強みや魅力はどこだと考えていますか?
髙橋:一番の強みは、社内に看護師や保健師、臨床心理士といった医療の専門資格を持つスタッフが多数在籍しており、顔の見える非常に近い距離にいる点です。コールセンター(コンタクトセンター)に専門職が潤沢に配置され、アナログとも言える手厚い相談体制を自前で維持していることは、他社にはない大きな魅力だと思います。
―マニュアル対応ではなく、個々の相談者に寄り添った対応ができるわけですね。
髙橋:そうですね。病院等での実務経験が豊富なスタッフを採用しているため、一律の決まったマニュアル回答ではなく、相手の状況や表情(声のトーン)、心理に合わせた柔軟な対話ができるのが特長です。
―PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)サービス事業と、御社の事業はどのように結びついていくのでしょうか?
髙橋:そうですね。病院等での実務経験が豊富なスタッフを採用しているため、一律の決まったマニュアル回答ではなく、相手の状況や表情(声のトーン)、心理に合わせた柔軟な対話ができるのが特長です。
―PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)サービス事業と、御社の事業はどのように結びついていくのでしょうか?
後藤:PHRによって個人の健康データが可視化され、ビッグデータとして活用される時代になりました。AIを活用した効率化もトレンドですが、私たちが目指すのは「データと人間の力(人によるフォロー)の融合」です。
当社の専門職には、対話をとおして相手の潜在的な悩みを引き出す「聞き出す力」があります。
相談者が口にする上辺の言葉だけでなく、その背景にある真の悩みを汲み取り、蓄積された経年データと繋ぎ合わせることで、より的確で手厚いフォローを目指していきたいと考えています。 デジタル化が進む今だからこそ、最後に求められる「人の温かみや深いフォロー」を大切にしていきたいですね。
業界の「ハブ」となるPSBAへの参画と期待
―PHRサービス事業協会(PSBA)に加入されたきっかけは何だったのでしょうか?
髙橋:設立初期に、既存の加盟企業様から「こういった団体ができるよ」とご紹介をいただいたのがきっかけです。
当社はシステム構築やアプリ開発を直接手掛ける企業ではありませんが、ヘルスケア領域の新たな可能性やビジネスチャンスを模索する中で、「PHRが発展していく過程で、私たちの人的サービスやノウハウが間接的にも役割を果たせるのではないか」と考え、参画を決めました。
後藤:ヘルスケア業界は、実は昔から「業界全体を繋ぐハブ(中心軸)が存在しない」という課題がありました。
製薬会社、電話相談事業者、医療機器メーカー、健診データを扱う会社など、各社が「点」で独立して動いており、結びつきがあってもせいぜい2〜3社の狭い連携にとどまっていました。
そんな中でコロナ禍の頃にPHRという概念が広がり、「PSBAという協会自体が、これまで存在しなかった業界のハブになれるのではないか」と感じたんです。
単なるデータの集積にとどまらず、業界全体を繋ぐプラットフォームとしてのやりがいと可能性を感じて、設立初年度から活動に深く関わるようになりました。
―PSBA内でどのような活動を担当されているのですか?
髙橋:現在、弊社からは主に2つの委員会に参加しています。
一つは「ヘルスケアサービス委員会」内の「健康経営ワーキンググループ」です。
弊社内に健康経営ソリューションを提案する営業部門があるため、PHR領域における健康経営の最新動向を把握し、議論に参加しています。
後藤:もう一つが、「広報委員会」内の「ネットワークワーキンググループ」です。
私はここで昨年からリーダーを務めさせていただいています。
事務局からの打診や指名もあり引き受けることになりましたが、異業種が集まる場ならではの苦労や調整の大変さも日々実感しています。

共通の「言語」を模索し、健康経営の「本質的な成果」に迫る
―ネットワークワーキンググループのリーダーとして、どのようなご苦労があるのでしょうか?
後藤:PSBAには大手ITベンダーから製薬会社、ヘルスケア事業者まで本当に多様な企業に参加していただいています。
そのため、同じ「健康」や「データ」という言葉を使っていても、業界や立場によって使っているニュアンスや温度感が全く異なるんですよ。 IT系の専門用語が飛び交うこともあれば、議論の前提となる課題意識が噛み合わないこともあったり。(笑)
また、企画やイベントを実施する際も、参加目的が企業ごとに違うため「全員が100%興味を持つテーマ」を作るのが非常に難しく、会議の中だけではなかなか共通の着地点が見つからないことも多いのですが、それぞれの意図を自分なりに解釈し、バランスを取りながら「こういう形で進めましょう」と整理してメールやテキストで集約していくなど、地道なファシリテーションを心がけています。
―健康経営ワーキンググループでは、どのような議論が行われているのでしょうか?
後藤:今、まさに議論の中心になっているのが「健康経営の効果の可視化」です。
企業が健康施策に投資した際、それが従業員のパフォーマンスや経営指標にどう寄与したかをデータでどう証明していくか、という点ですね。
最近では「質の高い睡眠をとるための施策や休暇制度」なども評価項目に組み込まれるようになり、テーマが多角化しています。
髙橋:取り組みの選択肢が増える一方で、従業員がどこまで参加し、実際の健康行動につなげられているかという点も重要です。健康経営の施策には従業員の参加が前提となるものも多く、制度やサービスを導入しただけでは十分な効果は期待できません。
PHRサービスについても、健康状態の可視化から得られた気づきを、生活習慣の改善や相談、必要に応じた受診など、具体的な行動につなげていくことが重要です。
ティーペックは、健康相談をはじめとした「人による支援」を強みとしており、PHRによる気づきと、その先の相談や受診、行動変容をつないでいくことが、当社がPHR領域で果たせる役割の一つだと考えています。
また、こうした取り組みを日本企業の大多数を占める中小企業にもどう広げていくかは大きなテーマです。認定取得による採用活動やエンゲージメント向上など、実質的なメリットをどう感じてもらうかも重要です。
健康経営というブームが一巡し、形式的な導入から「本質的な成果や継続性」が問われる過渡期だからこそ、ワーキンググループでもこうした議論を重ねています。

―最後に、PSBAへの入会を検討されている企業様へメッセージをお願いします。
後藤:ヘルスケア業界において、他企業のキーパーソンや担当者と直接繋がれる場は非常に貴重です。
通常であれば「どこの部署にアプローチすればいいか分からない」という企業であっても、PSBAという場を通せば「こういうことをやりたい」という相談に対して素早くリアクションや紹介が得られます。
人と人との接点やオープンなネットワークを作れる点が、一番のメリットだと思います。
髙橋:企業の規模や自社でシステム・アプリを持っているかどうかは関係ありません。
実際に私たちも「PHRを自社の強みとどう掛け合わせていくか」を日々悩みながら活動しています。
難しく考えすぎず、「ヘルスケアの未来や新しいビジネスのカタチを一緒に考えていこう」というオープンなスタンスで、ぜひ門を叩いていただければと思います。
聞き手:本日はありがとうございました。
企業概要
〒110-0005 東京都台東区上野5-6-10
1989年設立。24時間年中無休の電話健康相談サービスをはじめ、専門医紹介・セカンドオピニオン手配、メンタルヘルス対策(EAP)など、心身の健康を包括的にサポートするヘルスケアサービスを提供。
経験豊富な保健師・看護師・心理カウンセラーなどの専門職が利用者の健康課題に寄り添う支援を行っている。
髙橋 大
ヘルスケアストラテジー部 部長
D of D指導認定講師 健康経営実行責任者
健康のために取り組んでいること:年齢と共にお腹周りも気になり始め、プランク動画を見ながらのトレーニングをスタート
後藤 照典
ヘルスケアストラテジー部 ソリューション2課 係長
健康のために取り組んでいること:年齢を重ねるごとに病気予防や体の変化に敏感になり、日常的に歩数を意識するなど、無理のない範囲で健康維持を心がけている
